前回に引き続き、引戸(板戸)に新しい板を取り付けます。
1.裏桟の制作
まずは壊れていた裏桟の交換。

裏桟の制作
裏桟には以前Jマートで購入し現地で乾燥させた、
赤身無節の杉板(幅150mm×長さ1800mm×厚み12mm)を使います。
オリジナルの裏桟は木が痩せたり痛んでいたりしたので、
加工された横桟の溝を採寸。
ちょっときつめで幅28mm、厚み7mmで加工。
赤身杉板をマルノコで幅28mmにカット、
厚みはマキタの82mm充電式カンナKP180DZで合わせました。

裏桟を嵌めたところ
きつめですが、あて木とゴムハンマーで周辺横桟・下框の溝との交差がツライチになりました。

裏桟を嵌めたところ
2.杉板の加工
今回は2mの乾燥済み杉板(幅9寸×長さ2m×厚み12mm)を使用します。

自動カンナで仕上げていきます
自動かんな(日立P100FB)で仕上げていきます。
下框の溝を採寸すると板は9mm厚が妥当のようですが、
一応厚めに削って、実際に合わせながら最終的な厚さを決めます。
3.杉板の並び方を再検討
簡単そうで意外と悩むのが新しい杉板の取り付け位置。
材木屋さんで反りや割れを確認しつつ、模様や各板の並びを検討して選んだ3枚。
しかし自動鉋で削ると、また模様も変わるもの。
反りの具合や模様などをみて最終的にどの部分を使うか決めます。
4.杉板の取り付け(杉板の仕上げ)
杉板の幅は左275mm・中央270mm・右275mmにそれぞれ加工。
ぴったりに杉板を加工したところ、仮で杉板を嵌める際に
錘(ローラー)を載せないと浮いてしまうほどきつく仕上がっていました。

加工した杉板の仮置き
扉の杉板部分は見た目だと幅810mmですが、
実は左右の竪框に杉板を入れこむポケットのような部分があるため左右は少々幅広です。
このポケット部分は三角状になっており、丸のこを30度くらい傾けて杉板を加工しました。
杉板を嵌めてから気づいたのですが、竪框の高さが左右で異なっていました。

竪框の高さが左右で異なっていた
そこで左右の杉板は竪框に合わせてカットし、中央の杉板は高い右側の竪桟に合わせてカット。
5.杉板のビス留め
釘留めではなくビス留め
最後に杉板の金具留め。
伝統工法だと通常は釘留めなのでしょうが、後々の板交換や加工などを考えて
今回は目立たない茶色のステンレスビス(SUS-XM7・2.7×16mm)を使用。
釘隠しなどを取り付けようかとも思いましたが
柱と引戸との隙間がほとんどないため釘隠しなどは使用できません。
金具留めの間隔は1寸
金具留めの間隔を調べても特にルールはなさそうだったので、
隣の部屋にあった板戸や蔵の内扉板戸などの釘の間隔を細かくチェック。

釘の間隔は概ね1寸(約3cm)
結論としてはバラバラだが、きれいにそろっている板戸では概ね1寸(約3cm)。
ちょうど見幅が81cmなので、3cm間隔ならきれいに並んでビスが打てます。
今回は1寸(約3cm)間隔でステンレスビスを取り付けることにしました。
1列26本、3列にビス留め
横桟の幅を測り、中央付近をビスの穴あけ位置に設定。
杉板の上に横桟で調べた中央同士を線で結び、線上に3cmづつビス穴の目印をします。
目印に合わせステンレスビスをインパクトドライバー(マキタTD148D)で打ち込みます。

1寸(約3cm)間隔でステンレスビス(SUS-XM7・2.7×16mm)を打ち込む
小さいビスな上、相手も杉板のため今回は下穴なしで行いました。
6.完成

完成(表)

完成(裏)
6.取り付け

引戸(板戸)を現場に取り付けたところ
ビスは全ての横桟に打つべきか悩んだのですが、上・中央・下に各1列で大丈夫そうです。
もし季節の変化で反りが発生したら、残りの桟にもビス留めを施したいと思います。
作業概要
作業人数・作業時間
いつも通り1人でDIY、作業時間は約8時間。
道具
・自動かんな・・・日立 P100FB
・充電式かんな・・・マキタ 82mm充電式カンナ モデル KP180DZ
・スライドマルノコ・・・マキタ 305mm スライドマルノコ モデルLS1213
・インパクトドライバ・・・マキタ 充電式インパクトドライバ TD148DRFX(TD148D)
・集塵機・・・マキタ 集塵機 モデルM420
材料
杉板(裏桟用)・・・赤身無節の杉板(幅150mm×長さ1800mm×厚み12mm)
Jマートにて298円で購入したものを現地で2年ほど乾燥。
杉板(戸板用)・・・無節の杉板(幅9寸×長さ2m×厚み12mm)
地元の材木店で乾燥済みを1,800円/枚で3枚購入。
留め金具・・・ステンレスビス(SUS-XM7・2.7×16mm)茶色
いつも使用する猫印のメーカー(メーカー名不明)。
武蔵境のロウズにて箱入り200本入りを432円にて購入。
難易度(手間の程度)
★★★★★
初めての引戸(板戸)修理。DIYとはいえ、かなり緊張しました。
裏桟づくり・戸板の加工・ビス留め、
どのステップも失敗できないのでプレシャーのなかでの作業でした。
将来は信頼できる建具屋さんに依頼したいところです。
素人が行う作業ではないような気がします。